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AIの使い方は4種類しかない?事例200件から見た結果

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目次
  1. 概要
  2. AIの処理は要約・生成・変換・判定に分かれる
  3. 事例の多様性は入力元と出力先の差で生じる
  4. RAGとAIエージェントは4つの処理に外側を足す
  5. 検知や予測を行うAIは別の技術として区別する
  6. 自社業務は4つの処理への分解で検討する
  7. 結論

概要

AIの活用事例を読んでいると、業種も製品名も毎回違うため「自社とは関係がなさそうだ」と感じる方は多いと思います。ただ、AIが実際に担っている処理だけを取り出すと、事例ごとの違いは小さくなります。

言語を扱うAIの事例で、AIが担当している処理の多くは要約・生成・変換・判定の4つに分かれます。分類の対象は事例ではなく、AIが行っている個々の処理です。1つの事例は、たいてい複数の処理を含みます。商談の記録も、稟議書の素案も、請求書の読み取りも、この4つの組み合わせで書き表せます。事例の見え方が大きく異なるのは、AIの処理が違うからではなく、入力をどこから取り、出力をどこへ渡すかという前後の設計が違うためです。RAGとAIエージェントは、この4つに検索と制御を足した構成です。したがって自社での検討は、製品を探すことからではなく、業務を4つの処理へ分解することから始められます。

4つに収まらない処理もあります。質問への回答や、複数の書類の突き合わせがこれにあたり、本文でも該当箇所を示します。また、踏切の滞留検知や不正取引の予測は、言語を扱うAIとは処理が異なるため、この分類はあてはまりません。

AIの処理は要約・生成・変換・判定に分かれる

分類の軸は、AIが返した出力が、入力とどういう関係にあるかです。

  • 要約:入力より短い文章を返す
  • 生成:入力に含まれていない記述を足した文章を返す
  • 変換:入力の内容を、別の形式や言語に移した文章を返す
  • 判定:文章ではなくラベルや点数を返す

以下の事例は、いずれも複数の処理を含みます。そのうちどの部分がどれにあたるかを見てください。

要約にあたるのが、NECが1,000名規模で導入したナレッジワークAI商談記録のうち、記録内容から商談レポートを自動作成する部分です NECがナレッジワークAI商談記録を1000名規模導入。対面・オンライン・電話の商談を録音・録画し、独自の音声解析AIで文字起こしをしたうえで、レポートを作成します。文字起こしの部分は変換にあたります。

生成にあたるのが、あいち銀行が導入する融資稟議書作成AIサービス「LITRON Generative Assistant on finposs」です あいち銀行、LITRONで融資稟議書作成を効率化。NTTデータが提供し、行内の複数システムから顧客概況や財務情報を取得して、融資判断で押さえるべき観点に沿って取引先ごとの稟議書素案を自動生成します。試行利用では、審査役の評価における指摘数が従来から約25%削減しました。

変換にあたるのが、ある中小企業での生成AIの多言語対応です 中小企業の生成AI多言語活用で情報共有。マニュアルの内容を従業員の母語へ翻訳します。同じ事例で、分からない点を自分の言葉で質問して回答を得る使い方もしており、こちらは4つの分類には収まりません。

判定にあたるのが、WeevaのAI薬事チェックのうち、NGワードと該当理由を提示する部分です WeevaのAI自動化で業務コスト約50%削減。過去のNGワード8,000語を基に判定します。同時に提示する代替ワードは生成にあたります。まなりぴでも、動画のアップロード後にAIが問題を自動生成する部分は生成、記述式の解答を自動採点する部分は判定です まなりぴで小学生の理解度把握を省力化

分類するのは事例ではなく、AIが行っている処理です。1つの事例が複数の処理を含むことは珍しくありません。

事例の多様性は入力元と出力先の差で生じる

処理を1つに固定して事例を並べると、違いがどこから来ているのかが見えます。ここでは変換に絞ります。いずれも、決まった書式のない入力から必要な項目を取り出し、別のシステムが受け取れる形にする処理です。

TASUKI TECH LANDの生成AI-OCR読取は、入力がPDFの物件概要書です TASUKI TECH LANDの生成AI-OCRで登録工数削減。書式も項目名も会社ごとに異なる資料について、OCRが文字を読み取り、生成AIが必要な情報を抽出します。読取りルールの準備を必要としません。出力先はTASUKI TECH LANDの登録画面です。

バクラク請求書受取は、入力が紙、メール添付、Webサイトからのダウンロードという複数経路の請求書です バクラクAIによる請求書処理工数90%削減。AI-OCRが取引先、金額、日付を読み取ってデータ化し、過去の仕訳との一貫性を考慮して仕訳を推薦します。出力先は会計ソフトや振込に対応したデータ形式で、仕訳・振込・消込データを出力します。バクラク請求書受取は、受領請求書の処理工数を90%削減すると掲げています。

バクラクAIによる請求書処理工数90%削減AI活用事例の構造図読取自動化連携確認出力確定削減背景多様な受領形式課題手作業の残存AI処理AI-OCRデータ化AI処理バクラクAI人の役割仕訳の確認利用会計データ出力成果処理工数90%削減https://bakuraku.jp/lp/ad_invoice_system_comparison/
バクラクAIによる請求書処理工数90%削減

ContactXは、入力が電話の音声です ContactXの多言語電話AI受付と日本語記録。ContactX Voiceが50以上の言語で電話を受け、通話をリアルタイムで書き起こします。ContactX Logが要約と問い合わせ分類、対応履歴を作成し、対応履歴はCRM・基幹システムへ連携できます。

3つとも、AIが担当している中心の処理は同じです。事例の見え方を分けているのは、次の3点です。

  • 入力の取得経路(PDF、紙とメールとWeb、電話の音声)
  • 出力を渡す先(自社の登録画面、会計ソフト、CRM・基幹システム)
  • 人が確認する時点

3つ目については、バクラクが自動入力された仕訳を利用者が確認する手順を残しています 。AIの出力をそのまま次の工程へ流すか、人の確認を挟むかは、処理の種類とは別に決める設計です。

事例が難しく見えるときは、AIの処理ではなく入力元と出力先を見てください。前後の接続を単純にすれば、同じ処理を小さく始められます。

RAGとAIエージェントは4つの処理に外側を足す

RAGとAIエージェントは、それぞれ独立した用途ではありません。4つの処理に、別の仕組みを足した構成です。ただし足しているものが違います。

サワイグループの製剤研究部は、Azure OpenAI上に過去の検討報告書などを参照するRAGを構築しました サワイ製剤研究、Azure OpenAI RAGで知識継承。製剤の硬度を上げたい課題に対し、過去品目の事例から手法を多角的に提示し、参考文献をワンクリックでプレビューできます。情報収集は15分ほどで特定できるようになり、部員の80%以上が日常利用しています。ここで社内文書を探しているのは検索の仕組みで、AIが担当しているのは、見つかった文書を基に手法を提示する部分です。RAGが足しているのは、入力の取得元にあたります。

NTTデータ先端技術は、Microsoft 365 Copilot Coworkによる営業事務の社内実証を本格化しました あいち銀行、LITRONで融資稟議書作成を効率化0。検証領域は次の4つです。

  • Teamsやメールなどの非構造データを解釈し、要点抽出や問い合わせ対応に活かす
  • 見積書や注文書などの一次ドラフトを条件や文脈から生成し、人が確定・承認する
  • 受付から情報の横断参照・分類・振り分け・通知までを一連実行し、人が例外対応する
  • 帳票間の差分や定型から外れた案件を候補提示し、人が網羅性保証と最終判断を担う

要点抽出は要約、一次ドラフトは生成、振り分けは判定にあたります。4つ目の帳票間の差分は、複数の入力を突き合わせる処理で、4つの分類には収まりません。エージェントが足しているのは、次にどの処理を実行するかという制御です。同社は、作業に関連する資料全体を踏まえて推論し、複数ステップの作業を自律的に遂行する点を検証しています。あわせて、AIが得意とする領域とAI単独では保証しきれない領域を切り分け、後者は人や既存の仕組みが担保する前提で運用を設計しています。定量的な工数削減の数値は示されていません。

検知や予測を行うAIは別の技術として区別する

AIという言葉には、言語を扱う生成AIのほかに、映像から物体を検知する技術や、データから将来を予測する技術も含まれます。事例を探すときは、この違いを区別してください。判断の基準は入力の形式ではなく、AIが行っている処理です。

南海電鉄は、人道踏切に踏切AIカメラを設置する導入試験を行うとしました あいち銀行、LITRONで融資稟議書作成を効率化1。踏切内に滞留する自動車などの物体を検知し、AI画像処理による骨格検知で人の滞留も検知します。検知時は現場の特殊信号発光機と直接連携し、列車の運転士へ知らせます。試験後の実績値は示されていません。

京都銀行は、AIを活用した不正取引検知モデルの運用を開始しました あいち銀行、LITRONで融資稟議書作成を効率化2。同行が保有する過去の疑わしい取引の届出実績を学習し、取引データごとに不正取引を予測します。

どちらの処理も、要約でも生成でも変換でも判定でもなく、検知と予測です。言語を扱うAIの事例をそのまま持ち込んでも同じ結果にはならないため、必要な技術を先に見分けてください。

自社業務は4つの処理への分解で検討する

自社で使い道を探すときは、製品比較から始めず、対象業務を4つの処理へ分解してください。

  • 対象業務でAIに任せたい作業が、言語の処理か検知・予測かを確認する
  • 言語の処理なら、要約・生成・変換・判定のどれにあたるかを分ける
  • 分けた処理ごとに、入力の取得元と出力の渡し先を書き出す
  • 人が確認する時点を決める

分解すると、近い事例を探しやすくなります。稟議書の下書きに困っているなら生成の事例を、書類の転記に困っているなら変換の事例を見れば、業種が違っても同じ処理の記述が見つかります。

探すのは自社と同じ業種の事例ではなく、自社と同じ処理の事例です。業種が違っても、要約は要約、変換は変換として同じように使えます。

結論

言語を扱うAIの事例で、AIが担当している処理は要約・生成・変換・判定の4つに分かれます。分類するのは事例ではなく個々の処理で、1つの事例はたいてい複数の処理を含みます。同じ処理を扱う事例でも見え方が変わるのは、入力元と出力先の設計が違うためです。RAGは入力の取得元を、AIエージェントは処理の制御を、それぞれ4つの外側に足しています。検知や予測は別の技術のため、区別して扱ってください。

自社での検討は、次の順で進められます。

  • 対象業務を要約・生成・変換・判定へ分解する
  • 処理ごとに入力元と出力先を決める
  • 同じ処理の事例を業種を問わず探す
  • 人が確認する時点を設計に含める

新しい発想を考える必要はありません。手元の業務を4つの処理へ分解すれば、同じ処理を扱う事例を業種を問わず探せます。