Maisart音声分離waketekooのSaaS提供と受賞
出典: https://www.mitsubishielectric.co.jp/medigital/brand/articles/case/waketekoo-2607/
waketekooはMaisartのディープクラスタリングを使い、モノラル録音に含まれる重複発話を話者ごとに分離し、文字起こし精度の向上を支える。顧客データを学習に使えない課題には擬似データを生成して対応し、音声認識精度を向上させた。2026年からSaaS型も提供し、音声分離技術の実用化が日本音響学会技術開発賞に評価された。
背景
対面会議の議事録作成やカスタマーハラスメント対策など、音声データを活用する場面が増えていた。一方、1本のマイクで録音したモノラル音声では、2人が同時に発話した箇所を話者別に分離し、テキスト化することが難しかった。証券会社向け通話録音システムを提供する中でも、蓄積された通話データの活用が課題になっていた。
要望・目的
重複した音声を適切に分離し、文字起こしの精度を高めることを目指した。サービス化にあたっては、長時間の録音データを処理する仕様と処理速度の向上が必要だった。既存のモジュール提供型とクラウドAPI型はカスタマイズ性が高い反面、すぐに使えないため、手軽に試せる提供形態も求められた。
実装・実施内容
2022年、入社1年目の社員が情報技術総合研究所の音声分離技術デモを契機に企画を提案し、証券会社向け通話録音システムでの活用を検討した。開発チームは情報総研と仕様調整を重ね、分離後の重複音声をどこに再構成するかを検討した。2025年には若手社員が展示会で得た顧客要望を開発へ反映し、AWS上でSaaS型の機能を実装した。
AIサービス・システム
waketekooは、三菱電機のAI技術ブランドMaisartの音声分離技術を用いる。中核のディープクラスタリングは、話者を分類する変換処理を学習し、入力音声へ適用して音声成分を分離する。重複発話の分離後は音声を再構成する。金融業務を主要ターゲットとするため顧客データを学習に使えない場合が多く、実際の対話に近い擬似データを生成して学習に用いた。
結果・効果
waketekooは、録音システムへ組み込むモジュール提供型、API経由で使うクラウドAPI型、Webブラウザーで使うSaaS型の3形態で提供されている。SaaS型は2025年に開発を始め、2026年から提供を開始した。PC内蔵マイクの録音や取り込んだ音声ファイルに対し、音声分離、話者分離、文字起こし、要約を行う。擬似データによる学習で音声認識精度が向上し、音声分離技術の実用化は2026年度日本音響学会技術開発賞を受賞した。