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サイト内AI検索の精度設計と根拠表示の運用手順

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目次
  1. 概要
  2. 質問の入力差はプロンプト集で吸収する
  3. 検索対象の文書と構造は導入前に決める
  4. 順位は導入後も調整し続ける項目
  5. 回答と根拠の該当箇所は同時に出す
  6. 評価基準を決めて測ってから展開する
  7. 権限とログは運用方針の一部として決める
  8. 元文書の更新で回答が変わる運用にする
  9. 結論

サイト内AI検索の精度を決めているのは、検索エンジンの性能ではなく、質問の入り口・検索対象の文書・順位・根拠の見せ方という運用側で決められる部分です。

概要

日立市は公式サイトのリニューアルに合わせてAI検索「Cogmo Search」を導入し、2024年2月29日からサイト内検索として稼働を開始しました 日立市WebサイトでCogmo Searchが稼働開始。単語入力でも文章での質問入力でも検索結果を提示し、検索結果の順位はチューニングでき、必要な情報をAIに学習させることで求める情報を上位に提示できるとされています。

静岡市は、庁内マニュアルや業務資料をもとにRAGで回答と根拠箇所を提示する『職員向けFAQシステム』を、2026年7月より全職員向けに運用開始しました 静岡市がAlli LLM App Marketで庁内FAQ運用。選定時の検証では、設定した評価基準に基づき80%以上の回答精度が確認され、検証に参加した職員全員から「業務で活用できる」との評価を得ています。

神戸市のKOBE AI PORTは、条例・規則や市会議事録といった市独自のデータを取り込んだ情報検索チャットと、生成AIへの指示例を集約したプロンプト集を備えます 神戸市KOBE AI PORTの庁内AI活用。回答には根拠となる参照資料が明示されます。

サイト内AI検索の精度は、質問の入り口・検索対象の文書・順位・根拠表示の4つを決めることで運用の対象になります。

質問の入力差はプロンプト集で吸収する

神戸市は、AIへの指示入力の精度の差により回答の精度にもばらつきが生じる点を課題として挙げ、KOBE AI PORTに指示例を集約したプロンプト集を用意しました 。利用者はプロンプト集から選ぶだけで指示を実行でき、AIの専門知識がない職員でも扱えます。

日立市は、検索リテラシーを問わずに情報を得られることが必要だという考えから検索強化に着目し、単語入力でも文章での質問入力でも的確な情報を提示するCogmo Searchを導入しました 。

北九州市は、大学生DXリーダー育成プログラムの導入として生成AI体験イベント「AI1Dayキャンプ」を令和7年9月14日に開き、参加者が生成AIに触れる機会を設けました 北九州市が生成AI体験とDXリーダー育成を実施

質問の入力差を埋める選択肢は3つです。

  • よくある質問を指示例として一覧化し、選ぶだけで実行できる状態にする
  • 単語での入力と文章での質問の両方を受け付ける仕組みを選ぶ
  • 利用者が実際にAIへ質問する体験の機会を用意する

検索対象の文書と構造は導入前に決める

神戸市の情報検索チャットは、条例・規則、市会議事録など神戸市独自のデータを取り込み、条例・規則の該当箇所などの検索を可能にしました 。

静岡市は、庁内に散在する膨大なマニュアルや規定文書の検索性向上を重点課題として挙げ、導入したAlli LLM App Marketについて、ドキュメント格納ルールなど組織の運用方針に合わせた設計・運用が可能な点を評価しました 。どこに何を置くかというルールが、検索の対象範囲を決めます。

杉並区と富士フイルムビジネスイノベーションの実証実験では、構成や記載形式が多様な行政評価関連文書を「認識・構造化」AI技術が施策単位で分解・整理し、共通のデータ構造へ変換しました 杉並区行政評価を認識・構造化AIで支援。これにより、過去の評価結果や他自治体が公表する行政評価関連文書との横断的な比較・分析が可能となることが確認されています

杉並区行政評価を認識・構造化AIで支援AI活用事例の構造図入力支援変換参照分析提案比較軽減課題文書確認に時間課題評価のばらつき背景行政評価文書人の役割職員が評価文を入力AI処理評価文案を提案AI処理文書を構造化成果負担軽減の可能性利用職員が確認・修正成果横断比較・分析https://www.fujifilm.com/fb/ja/news/15350
杉並区行政評価を認識・構造化AIで支援

検索対象に何を含めるかと、その文書をどんな構造で保持するかは、検索エンジンを選ぶ前に決める項目です。

順位は導入後も調整し続ける項目

Cogmo Searchは、検索結果の順位を簡単にチューニングでき、必要な情報をAIに学習させることで利用者が求める情報を上位に提示できるとされています 。この製品はAIを活用したファイル検索エンジンで、言葉の揺らぎを吸収して自然言語での検索に対応し、検索文とファイル文書の関連性を学習させて検索結果を最適化できます

日立市WebサイトでCogmo Searchが稼働開始AI活用事例の構造図対応検索導入稼働背景サイト情報の増加課題情報探しの負担要望すぐに情報取得AI処理Cogmo Search利用サイト内検索で稼働https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000024031.html
日立市WebサイトでCogmo Searchが稼働開始

よく聞かれる内容と、その答えとして最初に見せたいページを対応づけることが、順位調整の作業になります。

回答と根拠の該当箇所は同時に出す

静岡市の『職員向けFAQシステム』は、職員からの質問に対し庁内マニュアルや業務資料等をもとに生成AIが回答を生成し、根拠となる該当箇所をあわせて提示します 。静岡市は、提示された根拠を職員が即座に自ら確認できること、資料の検索・照合にかかる時間を短縮し確かな根拠に基づいた迅速な市民対応につながることを評価しました

静岡市がAlli LLM App Marketで庁内FAQ運用AI活用事例の構造図前提解消実現検証提供採用今後背景人口減少下の行政運営課題資料検索と問合せ負担要望処理時間の創出AI処理RAG回答と根拠提示成果回答精度80%以上利用職員向けFAQ運用結論定着と活用拡大https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000104.000034106.html
静岡市がAlli LLM App Marketで庁内FAQ運用

KOBE AI PORTでも、生成AIの回答に根拠となる参照資料が明示されることから、回答内容の信頼性を担保しつつ業務に活用できるとされています 。

根拠表示の設計で決める項目は3つです。

  • 回答と同時に根拠を出すか、利用者が操作して初めて出すかを決める
  • 根拠として文書名までを示すのか、該当箇所まで示すのかを決める
  • 根拠が確認できないときに、AIが回答を出すかどうかの方針を決める

評価基準を決めて測ってから展開する

静岡市の選定では、複雑なマニュアル等のドキュメントを対象とした検証において、設定した評価基準に基づき80%以上の回答精度が確認されました 。数値の前に評価基準があります。

静岡市はさらに、検証に参加した職員全員から「業務で活用できる」との評価を得たうえで、2026年7月より全職員向けに展開しています。精度の数値と、現場が実務で使えるという判断の両方を確認してから範囲を広げています。

杉並区の実証実験では、職員が自身で入力した情報と生成AIが作成した文案を比較しながら内容の確認や修正が行える環境をkintone上に構築しました 。

精度は評価基準を決めたうえで測定し、その結果を確認してから利用範囲を広げます。

権限とログは運用方針の一部として決める

静岡市が評価したAlli LLM App Marketは、職員全員が個人メールアドレスを保有していない、共有端末での利用が想定されるといった行政の運用実態を踏まえ、共通アカウントを含む柔軟なアカウント運用に対応しながら、利用状況を把握できるログ管理機能を備えています 。

静岡市はあわせて、運営管理の方法、管理者所属や権限範囲、使用する生成AIモデルの選択、ドキュメント格納ルールなど、市の運用方針を細やかに反映できる点も評価しました。検索対象の決め方と権限の決め方が同じ運用方針の中でつながっています。

クレスコは、Amazon Bedrockを通じたClaudeの提供において、アクセス制御・監査・ガードレール機能により責任あるAI利用を実現するとし、社内データやシステムと連携して自社情報を参照する生成AI(RAG)を構築しやすい点を挙げています クレスコ、Claude提供で企業の生成AI活用を支援

元文書の更新で回答が変わる運用にする

Alli LLM App Marketは、事前にすべての想定質問と回答を作成しなくても、庁内マニュアルや業務資料等をもとにAIが回答を生成できるため、従来型のFAQ運用に比べて継続的な更新・管理の負担軽減が期待されると評価されました 。静岡市は、ノーコード・ローコードで構築・運用できることによるFAQの作成やメンテナンスの工数削減も評価点に挙げています。

日立市の事例では、Cogmo Searchの稼働開始後もアイアクトが継続的な支援を行うとしています 。

結論

サイト内AI検索の精度は、次の順に決めることで運用できる形になります。

  • 質問の入り口を用意する(指示例の一覧化、単語と自然言語の双方への対応)
  • 検索対象の文書を決め、格納ルールと構造をそろえる
  • 上位に出したい情報を順位調整で指定する
  • 回答と根拠の該当箇所を同時に提示する
  • 評価基準を決めて精度を測定し、確認してから展開範囲を広げる

日立市は、単語と自然言語の双方を受け付ける検索と、順位をチューニングして必要な情報を上位に提示できる仕組みを導入しました 。神戸市は、プロンプトによる回答のばらつきをプロンプト集で抑え、条例・規則や市会議事録など市独自のデータを取り込み、回答に参照資料を明示しています 。静岡市は、評価基準を設けた検証で80%以上の回答精度を確認し、回答と根拠箇所を同時に提示する仕組みを2026年7月より全職員向けに運用開始しました 。

質問例・検索対象・順位・根拠表示という決められる項目を一つずつ埋めることで、サイト内AI検索は実用の水準に近づけられます。